シナモン 〔肉桂(にっき/にっけい)、桂皮(けいひ)〕
<芳香性スパイス>
☆特徴☆
シナモンは清涼感のある独特な芳香が特徴のスパイスです。
シナモンはクスノキ科の常緑樹です。
スリランカ、インド、中南米、中国、東南アジアなどで栽培されています。
スパイスとして使用されるのは樹皮の部分です。
この樹皮をはいで乾燥させたものを使用します。
シナモンにはいくつかの品種がありますが、
現在一般的に流通しているのはセイロンシナモンとチャイナシナモンの2つです。
セイロンシナモンはスリランカ原産で、インドや中南米でも生産されています。
爽快感のある上品な香りと甘味があり、最も品質がよいとされています。
シナモンとは本来こちらの品種のみを指します。
チャイナシナモンは中国南部原産で、東南アジアでも生産されています。
こちらは正確にはシナモンとは別種のスパイスで、カシアと呼ぶのが正しいのですが、
現在はシナモンとして流通しています。
少し辛味があり香りも雑なので、
スパイスとしての品質はセイロンシナモンより劣りますが、
安価なためこちらのほうが多く出回っています。
漢方薬として使われるのはこちらです。
☆歴史☆
シナモンについての最も古い記録は、
紀元前6世紀頃に書かれた旧約聖書の「エゼキエル書」に見ることができます。
また同じ頃、古代ギリシアの詩人サッポーの書いた詩にも記載があります。
これ以前の古代エジプトでも使われていたとする説もあります。
紀元前5世紀ごろのギリシャ人歴史家ヘロドトスは
シナモンとカシアの採取方法を別々に記しています。
このことから、当時からシナモンとカシアは別のスパイスとして
扱われていたことがわかります。
中国では後漢時代(25年〜220年)に書かれた薬学書「神農本草経」に
初めて記載されています。
日本では正倉院にシナモンが保管さており、
奈良時代には既に伝来していたことがわかります。
☆料理☆
シナモンはインド料理にとって重要なスパイスのひとつです。
カレーにもよく使われ、ガラムマサラやカレー粉の原料にもなります。
西洋料理ではソース類、ケチャップ、ソーセージなどに使われます。
また、パイ、プリン、ドーナツ、ケーキなどの菓子類や
コーヒーなどの飲み物にもよく使われます。
中華料理では肉料理などに使うミックススパイスの
五香粉(ウーシャンフェン)に使われます。
日本料理では八つ橋などの和菓子によく使われます。
昔は日本産の日本肉桂という品種が「にっき」の名で使われていましたが、
現在は生産量が少なく入手しにくいため、
チャイナシナモンなどで代用される場合が多いようです。
漢方薬としても「桂皮」または「肉桂」の名で使われています。
発汗、解熱、鎮痛、健胃、抗菌の効果があると言われています。
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