マスタード 〔辛子/芥子(からし)〕
<辛味性スパイス>
☆特徴☆
マスタードは独特の香りと鼻に抜けるような辛味が特徴のスパイスです
マスタードはアブラナ科の一年草です。
カナダ、中国、インド、ヨーロッパ、アフリカなど世界各地で生産されています。
日本ではカナダ産の物が多く使用されています。
スパイスとして使用されるのは種子の部分です。
この種子をそのまま使用する場合と、乾燥粉末にして使用する場合があります。
チューブや瓶詰めにして売っているペースト状の物は
乾燥粉末を水などで練った物です。
マスタードは大きく分けてホワイトマスタード、ブラックマスタード、
ブラウンマスタードの3つの品種があります。
ホワイトマスタードは地中海沿岸が原産です。
イエローマスタード(写真左側)もこの一種です。
辛味成分が揮発性でないため、軽くて穏やかな辛味とうまみが特徴です。
ブラックマスタードは中東が原産です。
辛味成分が揮発性で、鼻を刺すような刺激的な辛味が特徴です。
ブラウンマスタード(写真右側)は中央アジアと中国が原産です。
日本の和からしもこの一種です。
ブラックマスタード同様、刺激の強い辛味が特徴です。
☆歴史☆
マスタードはギリシアでは紀元前2000年頃の青銅器時代に はよく知られていました。
この 頃の遺跡から袋に入ったマスタードの種子が発見されています。
同じ頃のエジプトの遺跡からも大量のマスタードの種子が発見されています。
日本へは中国から伝来しました。
奈良時代の「正倉院文書」にマスタードに関する記述があるので、
このころには栽培が行われていたようです。
現在の乾燥粉末マスタードは1720年にイギリスで発明されました。
ダーハム州に住むクレメント夫人がホワイトマスタードの種子を乾燥粉末にし、
ダーハム・マスタードと名づけて売り出したのが始まりとされています。
☆料理☆
インド料理ではマスタードシード(種子)をホールのまま焙煎して使用します。
他のスパイスと合わせてつぶして使用することもあります。
ブラウンマスタードがよく使われているようです。
西洋料理でも、肉料理、ホットドッグ、サンドイッチ、
マヨネーズ、各種ソースなどに幅広く利用されています。
ホワイトマスタードがよく使われますが、他の種類も使われています。
日本料理ではおでんや納豆などの薬味の他、
からし和えやからし漬けなどの料理があります。
またマスタードの葉を漬物や煮物にしたりもします。
薬用としては打ち身、胸痛、腰痛、痛風に効くとされています。
また、ぬるま湯で溶いて神経痛、肺炎、咳止めの貼り薬としても使われています。
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