ペッパー 〔胡椒(こしょう)〕
<辛味性スパイス>
☆特徴☆
ペッパーはさわやかな芳香と強い辛味が特徴のスパイスです。
ペッパーはコショウ科のつる性植物です。
栽培は通常、挿木によって繁殖させます。
苗を畑に植え、支柱に絡ませて育てます。
2〜3年目から収穫ができ一年中収穫できますが、
収穫後に乾燥させるため雨のない季節が最適です。
主産地はインドで、世界の約1/3が生産されています。
スリランカ、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナム、
西インド諸島、ブラジルなどでも生産されています。
スパイスとして使用されるのは果実の部分です。
この果実の加工方法により、いくつかの種類に分類されます。
代表的なものはホワイトペッパーとブラックペッパーです。
ホワイトペッパー(写真左側)は、完熟し赤くなった果実を水に浸して発酵させ、
柔らかくなった果皮を取り除き、灰褐色の種子だけにして天日乾燥させたものです。
ブラックペッパー(写真右側)は、色づき始める直前の未熟な果実を、
そのまま天日乾燥させたものです。
風味はブラックペッパーの方が強く、ホワイトペッパーは穏やかです
☆歴史☆
ペッパーの原産地はインドです。
ペッパーはもっとも古くから知られていたスパイスのひとつです。
防 腐剤や臭み消しとして利用されていま した。
紀元前10世紀頃のインドの医学書にペッパーについての記述があります。
紀元前4世紀頃にはギリシアでも知られていました。
西洋では長い間高価で貴重なスパイスとして重用されていました。
中国へは漢の時代にシルクロード経由で伝来し、
西域の山椒という意味の「胡椒」という名が付けられました。
日本では正倉院にペッパーが保管されていたことから、
奈良時代初期には伝来していたと考えられます。
チリペッパー(唐辛子)が伝来する前には、
辛味の調味料として現在よりも多用されており、
うどんの薬味などにも使用されていました。
かつては、現在広く世界中で知られているペッパーとは異なる
ロングペッパー(長コショウ)という品種もたくさん栽培されていました。
これは通常のペッパーと違い、果実が細長い形をしています。
通常のペッパーよりも強い辛みが特徴です。
ロングペッパーは紀元前からインドで栽培されていました。
また、高価な輸出品でもありました。
しかし、ロングペッパーよりさらに強烈な辛味があり、
価格も安いチリペッパーが普及してくると、
ロングペッパーは通常のペッパーより商品価値が低くなり、
あまり栽培されなくなりました。
通常のペッパーも、チリペッパーが普及してから
辛味性スパイスとしての需要は多少減りましたが、
チリペッパーとはかなり風味が異なるため、現在でも世界中で使われています。
☆料理☆
肉料理、魚料理、野菜料理、スープなど世界中の様々な料理に使用されています。
また、ソース、ケチャップなど調味料の主要原料にもなります。
カレーにも主要なスパイスとして使用されています。
西洋料理ではもっとも基本的なスパイスとして使用されています。
挽きたてがもっとも風味がよいので、
使用するたびにホールのペッパーを挽くための
ペッパーミルがよく使用されています。
薬用としては健胃薬として用いられます。
駆風(腸内ガスの排出)、の効果もあるとされています。
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